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執筆者の写真歯科医師 川邉滋次

健康のためにしたことが歯には悪影響に!?気をつけたいマイブーム

更新日:2023年3月14日

はじめに


皆さんは健康のために何か続けているものはありますか?このようなマイブーム・ルーティーンは食事や運動、睡眠など個人によって様々です。


しかし、身体に良いことをしているをしているはずなのに、実はお口の中では悪影響だったというがあります。今回は身体にはOK(実はNGということも)でも、歯科ではNGというマイブームについてまとめてみました。


もしこの中で当てはまることをやっていた方は参考にしていただき、他の方法に切り替えていただけたら幸いです。


▼目次


 

歯みがきを長時間している


例えば、動画やテレビを観ながらのブラッシング、半身浴をしながらの歯ブラシのような時間を効率的に使うために良かれとしたことが、歯ぐきが下がってしまう結果になることがあります。


これは、オーバーブラッシング(磨きすぎ)といい、長時間のブラッシングまたは部分的に過度に集中した歯磨きによって歯ぐきがダメージを受けてしまい歯肉退縮(しにくたいしゅく)を起こしてしまう状態を指します。


ながら磨き

特に「ながら磨き」はついつい同じ部分を集中的に磨きがちで、歯ぐきにダメージを与えるだけでなく、意識しながら清掃しないため全体に満遍なく歯ブラシを当てられず、磨き残してしまう部分が多くなる傾向があります。可能であれば鏡でお口の中を確認しながらブラッシングすることをおすすめします。


健康のために乳酸菌飲料・クエン酸・酢を常飲している


体の健康のためと考え、毎日乳酸菌飲料やクエン酸・お酢を飲んでいませんか?テレビや友人からの勧めで始めたという方も多いのではないでしょうか。


クエン酸

毎日このような酸性の強い飲料を摂取することで、歯を溶かしてしまう酸蝕症を起こす恐れがあり、冷たい水や歯ブラシでしみてしまう知覚過敏やむし歯になりやすくさせてしまう原因となることがあります。


歯科医院でもらった強酸性水を毎日うがいに使用している


歯科医院で「酸化電位水」とよばれるお水を処方したり、販売するところもあります。うがい用で使用するのですが、短期的にみればお口の中の除菌として役に立つこともあります。しかし、長期間毎日使用している場合はクエン酸やお酢のように酸蝕症の原因となる場合があります。


歯磨き粉代わりに塩を使ってブラッシングしている


「塩で歯ブラシすると歯ぐきが引き締まる」というお話し聞いたことありませんか?しかし塩は結晶は歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあり、むしろ歯ぐきが下がってしまう恐れがあります。


塩

また、塩分過多になってしまい体の健康面にも悪影響を与えてしまうため、塩磨きはやめた方が良いと考えられます。


甘いものを食べた後は口をゆすげば大丈夫と思っている


甘いものを飲食した後にすぐにうがいをすれば大丈夫という考えも実は間違いです。

うがいだけでお口の中を中性に戻すには平均15回の洗口をしなければなりません。

甘いものを食べるたびに15回のうがいをすることは現実的ではないですよね。それよりも歯をみがいたり、キシリトールガムをかむことで唾液を出す方がむし歯予防には効果的です。


他にもマウスウォッシュのような洗口液をしっかり使えばお口の中がきれいに保てるという考えを持っている方もいますが、プラークのような細菌の集合体は洗口液の薬効成分が効きにくいため、先にブラッシング をして集合体をバラバラにしてから洗口液を使用することをお勧めします。


ハチミツ・果汁100%のジュースであればむし歯にならないと思っている


ハチミツは自然の甘味料だからむし歯にならないのでは?果汁100%のジュースは砂糖が入っていないのでむし歯になりにくいのでは?という思い違いをしている方もいます。


むし歯の原因となる菌は砂糖だけではなく「発酵性糖質」を原料にして菌のエネルギーを得て酸を出します。この発酵性糖質は、ハチミツや果物や果汁の入ったジュースなども含みます。


蜂蜜

ハチミツは花の蜜のスクロースという糖を蜂の酵素でグルコースとフルクトースという別の糖に分解したものです。抗菌作用がありますが砂糖と同じようにむし歯の原因になります。


果汁100%ジュース

果汁100%のジュースは砂糖を加えていなくても、果物には天然にグルコース、フルクトース、スクロースなどの糖が含まれており、果汁や濃縮還元果汁、果汁パウダーなどもむし歯の原因になります。


商品に歯にやさしい、砂糖不使用と表示されていても砂糖以外の発酵性糖質が含まれていればむし歯の原因となるので注意しましょう。


 

まとめ


1. ながら磨きは部分で集中的に磨きすぎを起こしやすく歯ぐきが下がってしまう原因になる。磨き残しのリスクもあるため、鏡を使って磨いている部分を意識しながらブラッシング することがお勧め。


2. 酸性の強い飲料や機能水をお口に入れることで、歯を溶かしてしまう酸蝕症を起こす恐れがあり、冷たい水や歯ブラシでしみてしまう知覚過敏やむし歯になりやすくさせてしまう原因となることがある。


3. 塩を使った歯磨きは、塩の結晶が歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあり、歯ぐきを下げてしまう原因になることがあるため推奨できない。


4. むし歯の原因となる菌は砂糖だけではなく「発酵性糖質」を原料にして菌のエネルギーを得て酸を出す。この発酵性糖質は、ハチミツや果物や果汁の入ったジュースなども含む。


参考文献


1. Hoshino, Etsuro, et al. "Plaque pH recovery by mouth-rinses with water." Japanese Journal of Oral Biology 31.2 (1989): 218-223.


2. Neff, D. "Acid production from different carbohydrate sources in human plaque in situ." Caries Research 1.1 (1967): 78-87.

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