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執筆者の写真歯科医師 川邉滋次

12歳臼歯に要注意!小学生から中学生で生える奥歯がトラブルの原因に!?

お子さんのむし歯は、食生活やお口の中のケア、口呼吸などの生活習慣の問題が原因です。そのため、原因を適切に解決すれば、むし歯を未然に防ぐことが可能です。


一方で、歯の位置異常は、一部を除いて、本人やご家族の生活習慣とは無関係に発生する場合があります。また、日常生活にすぐ支障をきたさないことが多いため、放置されやすい傾向があります。その結果、問題に気づいたときには、治療が難しくなっているケースも少なくありません。


したがって、歯の位置異常は早期発見・早期対処が望ましとされています。早期発見のためには以下の2点が重要です。


  1. 幼稚園年長までに歯科医院で定期検診を受ける(レントゲン撮影も定期的に行う)。

  2. 仕上げ磨きを欠かせず行い、お子様の歯を日常的にチェックする。


特に、親知らずを除く歯列の中で最後に生えてくる第2大臼歯(12歳臼歯)は、問題を起こす可能性が比較的高い歯です。この歯が生えてくる12歳頃は、小学校から中学校への進級などで生活環境が大きく変わり、多忙になりやすい時期でもあります。


また、この年齢になると、親御さんは仕上げ磨きの習慣を卒業している場合が多く、お子さんのお口の中の状態を把握しにくくなります。その結果、注意が行き届かず、問題を見逃してしまうことも少なくありません。第2大臼歯はお口の奥にあるため、かみ合わせの不具合やブラッシングが行き届かないことによるトラブルが生じやすいです。


第2大臼歯の生えたばかりの時期に起こる問題としては、以下の3つが挙げられます。


  1. シザーズバイト(交叉咬合)

  2. 前方向への傾き

  3. むし歯


今回は、この第2大臼歯がもたらす問題についてまとめてみました。


▼目次



 

シザーズバイト・奥歯がかみ合わない


シザーズバイトは「はさみ状咬合」ともよばれ、上下の奥歯が本来のかむ面で当たらず、空振りをしている状態を指します。


通常、上の大臼歯(奥歯)は生え始めに頭の部分が外側に向きますが、ほほからの圧力によって内側に戻りながら生えてきます。一方、下の大臼歯は初期に内側に向いて生えますが、舌の圧力で外側に戻ってきます。しかし、歯の初期の傾きが大きすぎたり、ほほや舌からのの圧力が十分に歯に伝わらなかった場合、上下のかみ合わせ面が合わず、歯の側面同士が接触して空振りのような状態になってしまいます。


一度側面で接触するようになると、かむたびに上の奥歯はさらに外側へ、下の奥歯は内側に押されるため、このかみ合わせを矯正治療なしで改善することは困難です。


この現象は自然に発生する場合もありますが、歯列の幅を広げる「拡大床」とよばれる装置を使用する際に、上下のバランスを無視して上の歯列を過剰に拡大した場合にも起こることがあります。


さらに、上下の奥歯が、シザーズバイトになってるうえ、深く密接している場合、このかみ合わせを解消するには引っかかりが強くなるため、治療の難易度が高まります。また、親知らずの歯胚(歯の種)が成長してくると、歯を動かすスペースが制限されるため、第二大臼歯が生え始める頃に一度歯科医院でチェックを受けることをおすすめします。


第2大臼歯は奥に位置するため、矯正装置のスペース確保が難しく、使用できる装置も限られています。そのため、床装置やクワドヘリックス、バイヘリックス、MTM装置でなどを活用して対応することが一般的です。


前方向へ傾く


第2大臼歯の前方向への傾きは下の歯でみられることが多いです。下の第2大臼歯が前方向へ傾くと第1大臼歯(6歳臼歯)の根本部分に引っかかってしまうこともあり、膨らんだ部分を超えられなくなってしまってその場に居続けてしまうことがあります。


歯の傾き

このような歯はブラッシング が行き届きにくく、2本の歯にむし歯をつくってしまう恐れがあるため、早期に改善することをおすすめします。また、親知らずがある場合、第2大臼歯の傾きを放置すると親知らずも被さるように傾いてしまう恐れがあり難易度が上がってしまうため早期の解決が必要です。


対応としては矯正装置を使用して傾きを解消する方法(アップライトと言います)があります。


 

まとめ(第2大臼歯の問題)


1. 歯の位置異常は生活習慣に関係なく発生し、放置されやすく、早期発見と対処が大切。


2. 第2大臼歯(12歳臼歯)に関する問題は、子供の口の中を把握しづらく見過ごされがちで、注意が必要。


3. 第2大臼歯の問題として、シザーズバイト(かみ合わせの問題)と前方向への傾きが挙げられ、早期の対処がおすすめ。

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