お子さんのむし歯は食生活の問題やお口の中のケア、口呼吸などの、生活習慣の問題が原因としてあるため、原因を解決することができれば未然にむし歯を回避することは可能です。
しかし、歯の位置異常は、一部を除いて、本人やご家族の生活習慣に関係なく発生してしまいます、また、問題が発生しても、日常すぐ困ることはないため、そのまま放置されやすく、問題が発生したときには難しい症例になっていたということもあります。
そのため、歯の位置異常は早めに気付いて早めに対処することが望ましいです。早期発見するためには
1.幼稚園年長までには歯科医院で定期検診をする(レントゲン撮影も定期的に)
2.仕上げ磨きを欠かせず行いお子様の歯をチェックする
が大切です。
親知らずを除いて、歯列の中で最後に生えてくる第2大臼歯(12歳臼歯)は、生えてくる時に問題を起こす可能性も少なくありません。年齢的に小学校から中学校に進級し、生活環境が大きく変わり忙しくなる12歳以降に起こりはじめる問題です。
親御さんもこの年齢になると子どものお口の中を把握していることは少なく、油断していると見過ごされてしまうこともあるため、注意が必要です。お口の奥に存在する歯のため、かみ合わないことによる問題や、ブラッシングが行き届かない問題があります。
この第2大臼歯の生えたばかりの問題として、「シザーズバイト」「前方向への傾き」「むし歯」が挙げられます。
今回はこの第2大臼歯がもたらす問題についてまとめてみました。
▼目次
シザーズバイト・奥歯がかみ合わない
シザーズバイトは「はさみ状咬合」ともよびます。上下の奥歯が本来かむ面で当たっておらず、空振りをしている状態です。
上の大臼歯(奥歯)は、初期に頭の部分が外側に向いて生えてきますが、生えてくるうちにほほの圧力で内側に戻ってくるように生えます。逆に下の大臼歯は、初期に内側に向いていますが、舌の圧力で外側に戻ってきます。しかし、初期の歯の傾きが大きかったり、ほほや舌の圧がうまく歯に伝わらなかった場合、上下のかみ合わせ面が当たらず、歯の側面同士で接触し空振りのような状態になってしまいます。
一度側面で接触してしまうと、かむたびに上の奥歯は更に外側へ、下の奥歯は内側に押されてしまうため、矯正治療なしでこのかみ合わせが解消することは難しいです。
この現象は、自然に発生することもありますが、拡大床とよばれる歯列の幅を広げる装置を使用した際に、上下のバランスを無視して上の歯列を無闇に拡大してしまった場合にも発生する場合があります。
上下の奥歯が、シザーズバイトになっており、かつ深く密接している状態だと、このかみ合わせを解消するためには引っかかりが強くなるため難易度が高くなります。また、親知らずの歯胚(歯の種)が成長してくると動かすスペースが制限されていくことになり、
移動しにくくなるため、第二大臼歯が生えてくる頃には一度チェックを受けていただくことをおすすめします。
第二大臼歯は奥に位置するため、矯正装置のためのスペース確保が難しく、使用可能な装置も限りがあります、そのため、床装置やクワドヘリックス、バイヘリックス、MTM装置で対応していきます。
前方向へ傾く
第2大臼歯の前方向への傾きは下の歯でみられることが多いです。下の第2大臼歯が前方向へ傾くと第1大臼歯(6歳臼歯)の根本部分に引っかかってしまうこともあり、膨らんだ部分を超えられなくなってしまってその場に居続けてしまうことがあります。
このような歯はブラッシング が行き届きにくく、2本の歯にむし歯をつくってしまう恐れがあるため、早期に改善することをおすすめします。また、親知らずがある場合、第2大臼歯の傾きを放置すると親知らずも被さるように傾いてしまう恐れがあり難易度が上がってしまうため早期の解決が必要です。
対応としては矯正装置を使用して傾きを解消する方法(アップライトと言います)があります。
まとめ(第2大臼歯の問題)
1. 歯の位置異常は生活習慣に関係なく発生し、放置されやすく、早期発見と対処が大切。
2. 第2大臼歯(12歳臼歯)に関する問題は、子供の口の中を把握しづらく見過ごされがちで、注意が必要。
3. 第2大臼歯の問題として、シザーズバイト(かみ合わせの問題)と前方向への傾きが挙げられ、早期の対処がおすすめ。
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