2018年10月27日

フッ化物(フッ素)が効果的な時期は?(子供編)

みなさんが「フッ素」と呼んでいる、お子さん達が中心に行う虫歯予防方法ですが、実は正式には「フッ化物」とよびます。フッ素は単体では存在しにくく他の無機質とくっついて化合物になるからです。(例えば歯科で使っているフッ素はナトリウムとくっついたフッ化ナトリウム、スズとくっついたフッ化スズとよばれるものです。)

フッ化物は自然のもの、人工的につくられたものにも入っています。例えば水道水、やお茶、海産物など、フライパンや炊飯器の内側などです。つまり人が生活している中にフッ化物は存在しているのです。

今回はフッ素と虫歯予防についてお話ししていきます。

 

1どうしてフッ化物は虫歯予防になるの?

歯の主成分はヒドロキシアパタイトとよばれるものです。そのヒドロキシアパタイトにフッ化物イオンが作用するとフルオロアパタイトが作られます。このフルオロアパタイトはヒドロキシアパタイトよりも酸に強い性質があります。

虫歯の原因は主に虫歯菌から出る「酸」です。つまり酸に強いフルオロアパタイトは虫歯に対して抵抗力があるのです。

2フッ化物が効果的な時期は?

お子さんの場合、フッ化物をぬるのは、生えたてまたは生えている途中の歯に行うことが効果的です。このような歯は、歯の表層へフッ素イオンを多く取り込んでくれる反応性が高い時期だからです。

また虫歯になりやすいのもこの時期なので、生えきって安定するまでの2〜3年間は虫歯から守る意味でもフッ化物を塗ることは効果的です。

ただ、歯は一気に生え変わるものではなく徐々に生えてくる、生え変わってくるものなので、生えるたびにフッ化物を塗ることが好ましく、何度も繰り返して塗る方が、効果が上がると考えられています。

そのため、歯が生えてくる時期(下記の表参照)に合わせて、乳歯が生えてくる1歳から親知らず以外の永久歯が生えそろう13歳までの間は、3〜6ヶ月おきに定期的にフッ化物を塗っていくことが効果的です。

3お子さんへのフッ化物を入れる方法

  • ①フッ化物を歯に塗る

歯科医院や保健所、市町村保健センターで行われる方法です。生え途中の歯の表面に直接フッ化物を塗って、虫歯から予防していきます。フッ素イオン濃度は3つの中で約9000ppm〜19000ppmと高いです。

②フッ化物溶液でうがい

学校や保育園、幼稚園などで集団的に行うことが多い方法です。薄いフッ素イオン濃度の溶液を毎日または週に1回のペースで洗口します。フッ素イオン濃度は225〜900ppmと高くないため、回数が必要な事、うがいができる4歳以上が対象のため、3歳以下の乳歯虫歯の予防方法には不向きです。

③フッ化物入りの歯磨き粉

主に家庭でできる虫歯予防方法です。現在の日本では90%以上のシェアがあるという調査結果(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所2016年)があります。2017年までは日本の市販されている歯磨き粉(医薬部外品)のフッ化物イオン濃度の上限が1000ppmまででしたが、2017年3月に厚生労働省からフッ化物イオン濃度の上限が1500ppmまで認められました。

4フッ化物の安全性は?

フッ化物の安全性については、賛否両論ある事は事実です。反対する意見が出た一端として、ハーバード大学の「フッ化物と子供たちのIQとの関連」論文があります。

しかし、①ハーバード大学の中で調査を実際行っているわけではない

②海外の論文の調査報告をまとめたものという理由からフッ化物と子供のIQとの間に関連性に結論を示しているものではないとの見解は表明されています。

その後、アメリカ歯科医師会やイギリスのヨーク大学の追加研究によってフッ化物と子供のIQとの関連性は科学的根拠がないと否定されており、フッ化物は現状安全性があることがわかっています。

 

5それでもフッ化物は不安という方へ

ただ、その情報がわかっていても不安が残る方もいると思います。

そのような方には「フッ化物」だけが「虫歯予防」ではないことを知っていただければと思います。

なぜ、こんなにフッ素、フッ素と歯科医院や学校、保育園や幼稚園でいわれるかという理由はフッ化物が他の予防方法よりもコストがかからない大勢でも対応出来る方法だからです。

最近ではお口の中で働く乳酸菌「Lロイテリ菌」を使用して、虫歯菌などの悪玉菌の活動を抑える方法や、マウスピースの中に殺菌作用のある薬剤を入れて装着する方法「3DS(DDDSデンタルドラッグデリバリーシステム)」などの予防手段があります。

そのため、フッ素にこだわらずに虫歯の予防処置をすることが可能です。「フッ素はちょっと‥でも虫歯予防がしたい」と思う方はこのような方法も選択肢にいれていただければと考えています。